1.スカイがスカイブルー

[The birds fly away from the flock...]
 ――――あなたはスカートです。
 決めぜりふ。
 亡き母の遺した言葉なんて、伏線の匂いがぷんぷんする。
 例えば少年漫画の王道的展開、窮地に立たされた主人公。しぼんでゆく気力、目の前のライバルキャラが「これで終わりだ、○○!」とビンビンにフラグを立てたところで、主人公ははっと母の最期の言葉を思い出す。
 ――――あなたはスカートです。
 ……。
 即死決定。
 きっとそんなお約束を破った漫画はアンケートハガキが送られてこなくて早々に打ち切られ、最後は当然「僕たちの冒険はこれからだ!」、××先生の次回作にご期待ください的なルートへ直行しちゃうに違いない。
「……むーん」
 ただでさえずるずるしたくなるブルーマンデー。文学的情緒溢れる風景描写なら現在の天気は陰鬱たる曇天のはずだけれど、あいにく顔を上げても広がっているのはむしろ爽やかなブルースカイ。ブルー×2になった。増えた。
 そんなブルーブルーな気分を胸に抱えて歩くうち、見えてくるのは概観は古臭く規則はもっと古臭い我らが母校・南聡学園。ごきげんよう、ごきげんよう、爽やかな朝の挨拶が、澄み切ったブルースカイにこだましている。でも姉妹の制度とかはない。あっても困るけど。
 月曜朝、かなり余裕がある時間帯での登校。あえて優雅な振る舞いを見せることで、最近ちょっと多かったずるずるは不慮の事態だったんですよ的なアピールをしてみる狙いだ。言うなれば狼少年の逆バージョン。普通は信じてもらえないかもしれないけど、僕ならいける。なぜかって? だって、優等生は嘘を本当のことだと信じてもらうことのできる数少ない特権階級だから。利権は使うべし。既得権益は守るべし。選挙はなんだかんだ言いつつ与党でいいやの現状維持肯定派。
 標準的な登校時間よりやや早いということでまだ生徒は少なかった。そんな中でも律儀に挨拶してくれる後輩たちに愛くるしさと若干の優等生的愉悦を感じながら、下駄箱。見慣れたお下げが目に留まった。声をかける。学園での一日は、だいたいこうして彼女に声をかけるあるいはかけられることで始まることが多かった。
「おはよう。宮」
「おはようございます、和久津さま。キスしてよろしいですか?」
「だめ」
 即答。
 挨拶代わり(文字通り)の全開ジャブにも慣れたものだ。
「フレンチでもですか?」
「もっとだめだよ!」
「身体は許しても唇は御法度ですか」
「許してないよ! 身体も許してない!」
 慣れたとか言いつつ、ジャブをクールに受け流すのはまたも失敗。
 宮はそんな僕の動揺をいつも通り微笑んで流し、自らの上履きを取り出しささっと履き替えた。ただし片足立ちで順番に、なんてはしたない真似はしない。きちんと右足の膝から畳んでしゃがみこむのがお嬢様流。もちろん宮も例外ではなく。
 でも見た目は楚々とした淑女っぷりの宮だが、とんでもないことを平然と言うそのギャップはきっと僕に勝るとも劣らない。だって僕には、彼女が男だ女だといったレベルではなく、宇宙の外から来た何かだと言われても納得できる自信がある。
 けど僕との違いは、彼女が本気の天然さんだということ。やっぱり天災さんの考えはいつだって凡人には分からない。
 分からないことは気にしても始まらないので、上から3番目にある僕の下駄箱をさっさと開ける。
「ん、5通あるや。まだ朝早いのに」
 律儀なものだ。上履きの上にきちっと重ねられていた。
 ちなみに漫画みたくどさどさっと開けた途端に落ちたりすることはあまりない。ただし二月中旬の某イベントを除く。
「恋する乙女の前には、時間すら無意味ですわ」
「そういうもの?」
「二十四時間見張っている方もいらっしゃいますから」
「それじゃただのストーカーだよ!」
 名ばかり管理職もびっくりの労働時間だ。訴えれば多分勝てる。
「大丈夫です。和久津さまにそのようなストーカーが居ないことは、宮がしっかり確認しております」
「二十四時間?」
「はい、二十四時間」
「……」
「ぽっ」
 深く考えないことにする。
 手紙を取り出し多少の確認をしてから僕も宮と同じように上履きへと履き替え。手紙を一応とはいえ確認するのは、封筒にヤバいいやがらせアイテムが入っていないことを確かめるためだ。虫とか画鋲とか白い粉とか。女の子のいやがらせはまことに陰湿でございます。
 まさかそのままゴミ箱にストレートするわけにもいかないので一旦鞄へと手紙たちを入れて、宮とともに教室へと向かう。すっかり染みついたポーズは両手を身体の前で合わせて鞄を持つ、儚いお嬢様スタイル。背筋を伸ばすと背後に流した髪が勝手にそよそよと揺れてくれて良い感じ。金看板は健在なり。
「おはようございまーす、和久津先輩、冬篠先輩」
「ええ、おはよう」
「おはようございます」
 礼儀正しい後輩たちが、ゆっくり歩く僕らに挨拶をしながら廊下を過ぎ去っていく。
 良くも悪くも僕と宮は学園内では目立つ方だ。僕は向こうを知らないけれど、向こうは僕を知っている。そんなことは茶飯事オブ日常。
 けどそれも当然といえば当然だ。森の中の一本の木に注目する人は居ないが、空を飛ぶ鳥は誰からも見えるのだから。
 ――潜在的な異物が、異物であることから逃れるための方法は二つしかない。
 植物になるか。
 空を飛ぶか。
 だから僕は空を飛び続けてきた。アイ・キャン・フライ。
「……」
「どうかした、宮?」
 後輩に挨拶を返してから視線を戻すと、僕でなければ分からないくらいに微かに驚きを宿した表情の宮と目があった。珍しい顔だ。
「最近は手が届くくらいの身近なアイドルに人気が集まっていると聞き及んでおります」
「うん? そんな話を聞いたことくらいはあるけど」
 好みの子を48人くらいから選べたりするアイドルグループも居るらしいし。
 でもなんでそんなことをいきなり? 疑問に思っているうち、宮は頬に優雅に手をあてつつ、少しばかり小首を傾げて微笑んだ。
「やはり和久津さまはツンデレ様だったのですね」
「いや、飛んだよいま! 話がすっごく!」
「いいえ、わたくしには分かります。和久津さまはようやくデレ期に入られました」
「今までツン期だったんだ……」
 あまりツンケンした覚えはないけれど。
 いやもちろん、今だってデレデレしてるつもりは微塵もないわけで。
「自覚がないのもツンデレの魅力の一つでございます」
「さいですか」
「はい。宮は惚れ直してしまいました」
「……さいですか」
 返す言葉もなし。宮の言うことだからもしかしたら僕は本当にどこか変わったように見えるのかも知れない。嬉しくない事実だが宮の僕に対する洞察力は確かなものがある。
 哀か、哀なのか。
 僕は自分を客観的に見れると思ってたんだけど。あなたとは違うんです、とか言ってみたい。
 そんな方面に灰色の脳細胞を飛ばしていると、いつの間にやら足は愛しき我が教室の扉の前に。やはりまださほど人は多くなかった。
「それでは和久津さま、今日も一日頑張りましょう」
「うん。頑張ろうね」
 二人して教室へと入っていく。
 これが僕のかつて送っていた毎日であり、今も送っている日常だった。



 閑暇。あるいは平穏。
 世襲の独裁者から魔王を倒せと横暴な命を拝するわけでもない。社会の悪を暴く為に秘密結社を組織するわけでもない。人類の存亡を懸けた危機に対し英雄的献身をするわけでもない。
 そんな中、閉塞感は刺激的な体験を希求する。
 分かりやすい危機がいい。命とか、地位とか名誉とか財産とかの。その疑似体験手段としてある人は小説へ、ある人はゲームへ、ある人は実際に非日常を演出するイベント会場へと逃避する。
 でも誰だって実際にそんな刺激的な体験が現実の自身に降りかかってきて欲しいと思っているわけではない。それはそうだ。ノンフィクションでは自らの安全は決して保障されはしないのだから。いきなり隣の国が国境線を越えて攻め入ってきたとか、近くの半島の核武装化が完了したとか、いつも使ってる地下鉄の駅でBC兵器によるテロが起きただとか、そういうのはやっぱり勘弁してほしいと思う。
「……くぁ」
 そうしてそんな妥協的産物の、欠伸。想像上の世界を作り上げて巨人で破壊活動を行うよりは健全だろう。
 ちなみにいち優等生お嬢様である僕は大きく口を開けて、なんてそんなはしたない欠伸はしない。片手の指をぴんと張り、広げた状態で口元へと持って行き、可愛らしくかつ儚げに眉を下げて小さく済ませる。終わった後は涙など出さず、すぐにキリッと表情を引き締めるのもポイントだ。こうすれば「ああ、和久津さまでもお疲れになることがあるのですね」なんて、完璧超人のちょっとした欠点を見つけてそのギャップにますます高感度アップだわ、となる。……こんなんだから前向きに卑劣とか言われるんだなあ、僕。
 でも実は、今のはさほど気を使う必要もなかった。
 なぜならとっくに時刻は放課後。生徒たちは思い思いの過ごし方をしていて、いくらなんでも廊下を歩いてるだけの僕の欠伸に注意を払う生徒なんて居ないに等しかった。いや一人ばかり心当たりがあるにはあるけれど、少なくとも今の僕の視界に彼女――宮は入っていない。
 僕と宮とて、なにも年がら年中一緒というわけじゃない。そもそも一緒に居るのであればあの神出鬼没さに驚くことだってないはずだろう。
「でも、こういうことを考えてると――」
「呼びましたか、和久津さま?」
 ひょっこり。
「相変わらず足音一つしない……」
「その割には、今回はあまり驚いていらっしゃらないように見えます」
「うん、まあ」
 なんかフラグが立った予感はしたから。押すなよ、絶対押すんじゃないぞ、みたいな。
 して何ごともなかったかのように二人で並んで歩み再開。僕もずいぶんと図太くなったものだ。……今更かな?
「なんか、今度は指パッチンとかで呼んでみたいな。貴族っぽく」
「そうですか? 和久津さまがお望みであればこの宮、いつでもどこでも馳せ参じますが」
「いや、いつでもどこでもじゃなくてもいいけど」
「たとえ火の中水の中草の中(中略)雲の中スカートの中……ぽっ」
「いやいや、そもそもそんな場所行かないし、やっぱり来なくていいよ! 特に最後!」
 いくら呪いは解けたから(物理的に)死なないとしても、(社会的に)死んじゃうし!
「ああ残念です。でも、たどり着けないからこその理想郷なのですね」
「理想郷というよりはむしろ愚神礼讚です」
「発禁処分になられましたか」
 むしろ焚書にしたい。
 でもまあ、神は死んだんですけどね。真実は常に民衆の期待に背くものなんです。世知辛い。
「それで、何のお話でしたでしょう?」
「何の話だっけ?」
「忘れたときは、人差し指を少し動かすと」
「動かすと?」
「バックログが表示されます」
 言って、宮は手を掲げてちょいちょいと人差し指の第一関節から上を揺らす。
 真似してみた。
 ひょこひょこ。ちょいちょい。ちょこちょこ。ひょいひょい。
「……動きがえっちっぽい」
「小説を読みながら癖でやりますと、ページの端で指を切るのでご注意ください」
「勧めておいてそれ! っていうか僕に言ってる?」
「切ったら舐めて差し上げます」
「結局何の話か忘れちゃったよ……」
 侮りがたし不思議空間。
 お米券とか進呈されそう。ニュートンが裸足で逃げ出すカオスっぷりだ。
「めためたですね」
「僕の精神もめためたです」
「それは大変です。お使いになりますか? 仏蘭西製、キブンヨクナール」
「だからそれ日本製だから!」
 むしろパチモンくさい。
 ……結局そんなやりとりするうち、まだ校内に用事があるという宮とは別れて僕はそのまま正門へ。帰宅するわけじゃない。今日はちょっと寄るところがあるから。
 ちなみに本日の下校時の下駄箱アイテム投函数は6。やや多め。といっても手紙だから荷物になりはしないけれど。
 再び一人の状態になり、ゆったりと門へ歩いていく。時速3キロ弱が儚げルックスにベストマッチでファイナルアンサー。ちなみに大人が歩く平均速度はだいたい時速4キロ。あまり速いのははしたないのでございます。
「ごきげんよう、和久津さま」
「はい、ごきげんよう」
「さよならー、和久津先輩!」
「ええ、また明日」
 放課後の解放感からか、半ば駆け足で帰って行く元気な後輩たちを見送る。リタイア後の再就職先で若い新人を見守る老人のような良い気分。あるいは退職間近の高校教員みたいな。わしはみんなから元気を分けてもらってるんじゃ的思考です。
 やっぱり僕はぽかぽかと温かい日差し降り注ぐ縁側に座って猫でも撫でていたい。
「さようなら、先輩ー!」
「さようなら。また明日ね」
「チュパカブラー」
「はい、ちゅぱかぶ……ら?」
 思わず首を捻りあげる。
「ベントラーベントラー」
「……」
 なんか、居た。



「おおお、われわれは正義のジャーナリストー! 暴力には断固として屈しないー!」
 正門の影に隠れるように立っていた、そして今はなんやかんや言っている猫――茜子を、とりあえず校舎の正門からは見えない曲がり角まで引きずり込む。
 つい手が触れるのを躊躇って腰に腕回し強引に引っ張ったけど、気付いた後は半ば持ち上げるようにしてずりずり。ほどなくして同級生のサーチ圏外へ。
「こちらRED―CAT、こちらRED―CAT、伝説のUMAチュパカブラを発見・確保しました、どうぞ」
「むしろ確保されてるよね」
「世の中は全て相対的と言いますから」
 意味が分からない。
 それでもとりあえず、一応回していた腕から解放する。
「もう、それで何しに来たのさ」
「これが恋人の到来を待ちきれずについつい学園まで迎えに来てしまった可愛い茜子さん以外のなにものかに見えるのなら、あなたの目はバッタ並の節穴です。改造手術をオススメします」
「そうじゃなくて……いやその気持ち自体は嬉しいけど」
「デレきたこれ」
「……」
 これもある意味では、惚れた弱みというやつなんだろうか。
 おかしい。なんかもっとこう、わりと僕の方に主導権があったような気がしていたんだけれど。いつの間にやら手綱どころか乗馬器具一式が茜子に持ち去られてしまったような感がある。
 でもそれでもいいやと思う辺り、僕も結構だめっぽい。
「だいたい、来たのが茜子さん以外の誰かだったらと想像してみてください。これでも一応は相談した結果です」
「……んー?」
 迎えに来たのが茜子以外だったら?
 るいは以前に一度来たことがある。そのときは大声で名前を呼ばれ続けて、翌日には広まっていた噂の鎮火に結構な代償を払ったことはいまだ記憶に新しい。
 花鶏だったらもう言わずもがな。襲われる相手が僕にしろ、あるいは他の誰かにしろ、公然猥褻罪で現行犯逮捕確実だ。羊の群れに狼を送り込むのと何ら変わらない。
 こよりはあの見た目だ、おそらく帰途についたお姉さん方のいいおもちゃにされてしまうことだろう。しかもそこで僕の名前なんぞが出れば、やっぱりその結末はるいと同じか。
 伊代は相変わらずの空気読めなさで、事務室あたりに話を通して来客として僕を待ちかねない。放送で呼び出された日には以下略。
「分かりましたか。その点茜子さんは外ヅラは薄幸そうな少女ですし、騒ぐことも目立つこともありません。スニーキング任務には最適ですぜ、大佐」
「うん、まあ。でも声かけられたりはしたでしょ? 大丈夫だった?」
「いくら茜子さんでも誰彼構わず悪態をつく訳じゃありません。普通の対応くらいできます」
「……ん」
 言われて、それもそうだ、と思った。
 るいとは別の意味で鉄砲玉みたいな茜子だけど、ちゃんと賢くはある。だから例えば路上で道を聞かれたりしてもそりゃ対応くらいはできるだろう。そこまでコミュニケーション不全なわけじゃない。
「ごめん、野暮なこと聞いたかな」
「はい。『こちとら智さんの舎弟じゃい、なんか文句あんのかこら』とガンくれてやったらどいつも尻尾巻いて逃げやがりましたぜ」
「それ悪態だよ! 全然普通の対応じゃないよ!」
「冗談です」
 冗談に聞こえない……。
「でも、あなたの名前を出したら生徒たちの態度が目に見えて違ったのは本当です。元ボク女は本当に優等生の皮被りだったんですね」
「皮被ってるんじゃなくて、一応本物の優等生のつもりですが」
「あの没落貴族といい、このチュパカブラといい、優等生というものに対してある種の疑念を抱かずにはいられない茜子さんであった」
「ああ、花鶏も学園では優等生で通ってるって言ってたね……」
 お金持ちでロシアンクォーター特有といってもいい目鼻の整った顔立ち、運動もわりあい得意なようだし勉学に至っては天才肌の成績優秀者。はたから見れば非の打ち所がないと言っても過言ではないに違いない。
 まあ、あのエロさと口の悪さと偏食っぷりとその他もろもろを知らなければ、ではあるものの。非を打つだけで日が暮れそう。
「そういえばさっき相談して来た、って言ってたけど。みんなもういるの?」
「変態エロ魔神以外は既に図書館に集合済みです。おっぱいメガネはさっさと勉強を始めてます」
「やる気があっていいことです」
 そう。今日のこれからの予定というのは、このことだ。みんなで図書館で勉強をすること。
 発端は僕と伊代。少しそんな話をしたら、伊代が妙に乗り気になったのだ。前も「学生の本分は勉強よ!」なんて言ってたのが結局なし崩し的におじゃんとなってしまったため、今回の気合の入れようはハンパなかった。もちろんるいとこよりと茜子と花鶏は反対したものの、そこは僕の助言もあり一応は合意という形で押し切った。
 でも僕の意図に気付いたのは茜子と花鶏だけだったと思う。無念なり、伊代。というかもう図書館に居る時点で色々とだめだろう。
「伊代がもう始めたってことは……あ、じゃあもしかして付き合わされるのが嫌だから迎えを口実に出てきただけだったり?」
「ウワー、バレタカー」
「それじゃ今ごろるいとこよりは大変だろうねえ」
 堅物気質の委員長に基礎から叩き込まれているに違いない。もしかしたらるいとこよりは同じ問題を解かされているのかな、なんて考えはるいに失礼だろうか。あるいはこよりに失礼だろうか。
「どっちにしろ伊代が爆発する前に行かないと。ね、茜子」
 さりげなく手を取る。
 そこに手袋の感触はない。あるのはさらさらとした手触りと、温かい柔らかみ。
「はい、行きましょう」
 今度ばかりは嫌味の一つも返ってくることはなく、そうして僕らは一路図書館へとその歩を進めたのだった。

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