math communication

[Fortune Arterial short story]
 ようやくクーラーの助けが必要なくなってきた秋口のこと。
 朝の涼しさを身体全体で感じつつ登校した俺を迎えたのは、見慣れたうちのクラスの教室内で起きている珍しい光景だった。

「あ、おはよう孝平くん」
「……」

 二つの視線がこちらに向く。
 片方はいつも通りに柔和な、そしてもう片方はいつも通りつっけんどんな。

「おはよう、二人とも。
 ……で、何やってるんだ?」
「あ、これね、いま紅瀬さんに数学教えてもらってるの」
「へえ」

 自分の席に座りつつ振り返れば、確かに、紅瀬さんの机の上に広がっているのは数学のノートだった。
 これが紅瀬さんのものでないことは字で分かる。紅瀬さんは筆で書いたような、いわゆる達筆の類。対して眼前のノートはずいぶんと丁寧かつ可愛らしい丸文字で、これが陽菜の字であると知れば、十人が十人納得するに違いない。

「へえ?」

 もう一度言って、今度は目線を上げる。

「……悠木さんがどうしてもと言うから」
「それで教えてると?」
「何か問題が?」
「いやいや」

 湧いてきた感情をなるたけ顔に出さないようにしつつ視線を外し、なんとなく目を教室壁面の時間割へと向ける。そこには今日、数学の授業があることが示されていた。
 そしてそう、確か今日のその時間は小テストが行われると言われていたはずだ。であればいま陽菜が「教えてもらっている」のはそれに関することなのだろう。
 いや実際、陽菜がテストがあることを忘れていたとか、その対策をしていないというはずはないのだが、それを指摘するほど俺だって野暮じゃない。

「それで、これを微分すると――」
「あ、じゃあこのyが――」

 紅瀬さんの即席数学講座が再開され、陽菜がさくさくとノートに言われたことを書き込んでいく。
 見る限り、確かに最近習った範囲ではあるが、難易度は結構高い問題だった。少なくとも小テストで出たらあまり解ける人が居なそうなレベル。そこには陽菜の頑張りが二つの意味で見て取れる。紅瀬さんがそれに気付いているかは微妙だが。

 特に二人からは何も言われなかったので俺も確認の意味を込めてその問題と解説を聞いていると、始業時間が近づくにつれて段々と登校してくる生徒の数が増えてきた。とはいってもまだギリギリ――つまり司が登校してくる時間――までは若干の余裕があって、回りを見れば同じように数学の小テスト対策をしている生徒たちもちらほら。誰しも一人ではできず、数人のグループで色々と話し合っている。

 と。

「……ん?」

 教室の前の方、つまりは俺や紅瀬さんの辺りとは逆の隅でまとまってる三人の女の子グループが、ちらちらとこちらを見ていることに気が付いた。机の上には三人分の大学ノートを広げていることからしてやっていることは俺たちと同じのように見える。

「あー」

 そうして、ピンときた。それと同時、女の子たちのうちの一人と目があって、やんややんやと三人で一言二言話し合った後、三人ともが立ち上がった。始めに目があった子は窺うような視線を俺に投げてきて、対して俺は紅瀬さんがよく見えるように身体を反らす。アイコンタクト。言うなれば、

『いいかな?』
『本人に聞いてみてくれ』

 みたいな感じ。
 意図は正しく伝わったようで、三人はちょっとだけ緊張した面持ちでそのまま俺の傍ら、つまりは紅瀬さんの机の前へと歩み寄ってきた。ふっと翳った机、陽菜と紅瀬さんがそれに気付いてようやくその顔を持ち上げる。不思議そうな顔の紅瀬さん、その視線をまともに受けた眼前の女の子はちょっとだけ及び腰、そして陽菜はその女の子たちが手に持つノートに気付いたかふにゃっとその頬を緩ませて。
 交錯する視線。胸に抱いた数学のノートをぐっと抱え直し、その女の子は声を絞り出すようにしてこう言った。

「ね、紅瀬さん。私たちにも数学、教えてほしいな?」



       ○  ○  ○



「うおっ、なんだこれ」

 寝ぼけ眼の司は、教室に入って来るなりその目を見開いてそう呟いた。そのまま理由を問うように視線を俺へと向けてきたので、「見ての通りだ」とジェスチャー。司にしては珍しく感心するような表情を見せ、鞄を自席へと放り投げた後俺の机へと寄ってきた。

「で、なんだこれは」
「……あれ、通じてなかった?」
「紅瀬の代わりにそっくりさんが転校でもしてきたのか?」

 紅瀬さんの席のまわりにあつまる人だかりを見て、司が面白そうに言う。きっと俺が転校してきた初日、質問攻めにあっていたことを念頭においてのことだろう。
 そうか、ハタから見てるとこう見えてたのか、アレは。

「今日、数学の小テストだろ? それでだよ」
「あー……?」
「やっぱり忘れてたか」
「いや、忘れたわけじゃない。聞いてなかっただけだ」

 しれっと言われても。

「しかし、にしてもこれは……」

 自分の小テストのことはどうでもいいのか、司は視線を再び俺の後ろへ向けた。俺も目を向ければ、そこでは相も変わらず紅瀬さんが数多のノートを相手にすらすらと解法を教えている前代未聞の光景。
 一対一の家庭教師というより、ここまで来るともはや寺子屋風味だ。さっきまで紅瀬さんのすぐ隣にいた陽菜はいつのまにやら後ろに下がっていて、にこにことその様子を嬉しそうに眺めている。しかし集まってきた女の子も、紅瀬さん自身もそれに気付くことはなく。

「ねえねえ紅瀬さん、この問題って積分できる?」
「それは置換してから。そうすれば例題と同じになるはずね」
「わ、紅瀬さん髪キレー。どうしたらこんなになるの?」
「特に何もしてないけれど。大したものじゃないわ」
「っていうか字すごっ! どっかで習ったの? 書道の段とか持ってたりして?」
「いつの間にか身についていただけよ。癖だから直そうにも直せなくて」
「あれ、これ解けなくない? っていうかテストに出る?」
「その分野を出すならむしろ2問目の方でしょうね。それと証明は帰納法でできるわ」

 やいのやいのと、聖徳太子もかくやといった感じで種々の会話がどんどん交わされている。
 これは、紅瀬さんの回りに集まったのが女子ばかりということもあるだろう。やれ肌が綺麗だの、やれ一緒に昼を食べないかだの、数学とは無関係の会話もそれなりのウェイトを占め始めているものの、数学を教える傍ら律儀に紅瀬さんは応対していた。今となっては数学ができるはずの生徒までその周辺に集まり始めていて、もはや何が何だか分からない。そしてその中心に居るのがあの紅瀬さんなのだから、もう珍しいとかそういうレベルではなかった。

「お前の手引きか、孝平?」
「手引きって、俺を何だと……」
「あはは、違うよ。孝平くんが何かをやったわけじゃなくて、やっぱりみんなね、紅瀬さんと喋りたかったんだと思うの」
「あ、陽菜」

 人だかりから抜け出していた陽菜が、俺の隣にひょっこり出てきた。その表情はやっぱりずいぶんと楽しそう。

「孝平くんは気付かなかった? 最近紅瀬さん、ちょっと雰囲気変わったから。みんな気になってたけど、やっぱり声はかけづらかったみたいで」
「んー、雰囲気が変わった、ねえ。司もそう見えるか?」
「俺は元々そういうのには疎いから分からん。ただ、談話室とかでぼーっとしてるのは見なくなったな」
「あー」

 そういう意味でならば、確かに思い当たる節はありありだ。
 主を捜す必要もなくなり、伽耶さんとも和解し、今は寮と千堂家を行き来する日々。瑛里華との戯れは相変わらずあるけれど、なるほど角が取れたと言うならそうだろう。

「紅瀬さん綺麗だし、スタイルもいいし、勉強もできてどことなくクールでミステリアスな感じだし。お話したいと思ってた人はいっぱい居ると思うよ」
「そりゃ褒めすぎだ。……って言いたいところだけど、これじゃなあ」
「ふふ」

 心情的にはちょっと異議を挟んでみたくもあったが、しかし集まる生徒の数がなによりも陽菜の言うことを証明していた。元より仲が良い連中の多いうちのクラス、その輪は陽菜という媒介を経て紅瀬さんにまでも到達したということか。
 そして嫌なら嫌と言う紅瀬さんが、たとえ楽しげな表情をしていないとしてもその対応に拒否の姿勢を見せていないということは、まあ、そういうことなのだろう。

「紅瀬さん紅瀬さん、これってベクトルだとどうするの?」
「ああ、それは原点ではなくy軸上に点Bを置いて――」

 そうして、それから始業のチャイムが鳴るまでのわずかな時間。
 俺たちの後ろでは、ずっと紅瀬さんの即席数学試験対策が賑やかな歓談を伴って続いていたのだった。



       ○  ○  ○



 ――して、四限目。いざ数学。
 休み時間が終わってがらりと教室の扉が開くと、すぐさまクラスに緊張が走った。ぎりぎりまで教科書を見て粘っていた生徒たちからは時間通りに来た教師に対する怨嗟の声も上がっていて、それもどこ吹く風の数学教師の脇にはつい先ほど刷られたであろう藁半紙の束があった。がやがやとグループを解散して自席に戻る生徒、教壇に上がった先生、やけに静かなまま行われた挨拶の号令。誰もが小テストのことを意識しながら行われた儀礼はどことなく異様な感じすらあって、大きな不安があるわけでもない俺まで緊張してくる始末だった。

「よーし、それじゃ教科書しまえー」

 テスト前の教師の定型句と、それに対しやっぱりテンプレ通りにぶーぶーと文句を言う生徒たち。「あと5分」「大して変わらんだろ」「じゃあ3分」「短くてもだめだ」なんてやりとりがやっぱりいつも通り交わされて、生徒たちがしぶしぶ引き下がったあと、先生はテストを配ろうとしたところで始めて欠席者に気が付いた。

「なんだ、紅瀬はまた休みか?」
「あ、いつもの体調不良だそうです」

 と、これは俺。
 先の休み時間に、紅瀬さんから俺は連絡を受けていた。まあ要するにアレだ、今頃はあの丘のど真ん中でぐったり横になっているはずである。
 ちなみに伽耶さんと和解してからは、どうやら伽耶さん側から――つまり学院の偉い人から――の通達で紅瀬さんは持病があると周知されており、ある程度の遅刻早退は認められていることになっている。
 とはいえ、まあ、それをそのまま鵜呑みにする教師ばかりかというとそうでもないわけで。

「あいつはなあ、これさえなければ……数学自体はできるんだがなあ」

 困ったように唸る先生。
 それはやっぱりどことなく非難の色を帯びていて、そのまま出席簿にチェックを入れつつ何気なしにぽつりと呟く。

「まさか今回勉強し忘れてたからとか、そういうのじゃないだろうな……」

 半分冗談ではあったのだろう。
 紅瀬さんの実力は先生こそよく分かっているはずだ。小テストがどの程度の難易度なのかは知らないが、それが紅瀬さんにとって解けない問題ではないことくらい、分かっているはず。だから先生は、心の底からその疑念を抱いているわけではおそらくない。
 けど、ちょっとだけムッときた。
 紅瀬さんの実力は先生がよく分かっているが、ならば俺は紅瀬さんの誠実さをこそよく知っている。彼女は欠席が多く教師陣からの信頼は決して篤くはないが、しかしその欠席が許された後でも彼女は強制睡眠以外の私事で授業を欠席したことなど一度たりとてない。
 だから擁護してあげたかった。紅瀬さんは、その不本意な自らの特性によって休まざるをえない状態であるのだから。それでも怠けたりしない誠実さを冗談でも疑って欲しくなかった。
 俺が紅瀬さんに肩入れしていることは、先生たちだって知っている。それでも俺が言えば、信じてくれるはずだった。成績はそこそこだけれど、これでも生徒会の役員、発言に重みはある方だと思っている。だから俺は口を開こうとして――

「えー、でもセンセー、紅瀬さんちゃんとやってたよ?」

 声は、全く関係ないところから挙がってきた。

「ん? どういう意味だ?」
「だからー、紅瀬さん勉強してたって。知ってたもん、今日の範囲」
「先生、紅瀬さん、今日の朝みんなに数学教えてくれてたんですよ」
「私も教わったー。マジ最強だったよ、うん」
「あれだけできてるのに逃げたとかだったら、あたしらマイナス点だよねー」
「紅瀬さんのおかげで点数倍になりそうだよ、今日」
「倍とか! あんたはいつもの点数が低すぎなだけだろー」
「っつーか、あの字は字だけで30点くらいあげていいんじゃない? 図も綺麗だったし合わせて60点くらいプラス?」
「そしたら紅瀬さん160点じゃん! 欠席でも60点で赤点回避だよ!」

 がやがやと、一気に沸き立つ女子たち。ぽかんとする教師とともに、俺もまた開きかけた口を戻すことも忘れてその様子を眺めていて。
 彼女らの言動にはテスト前の緊張緩和という意味合いもあったろうが、それでもどこかで先生に対してある言葉を投げているようなわざとらしさも感じられた。誰もはっきりとは口にしないものの、誰もが今朝のことを引き合いに出している。私も教わった、私も見た、私も聞いたよ、などなど。
 つまり、彼女たちは言っているのだ。「あれだけやってた紅瀬さんが、そんな理由で欠席するはずがない」と。

「う……むう……」

 なんとなく判断しかねている顔の先生。それは紅瀬さんが今どうしているかについてではなく、「あの」紅瀬さんが今朝同級生たちに勉強を教えていたという、その事実に対しての戸惑いだろう。
 そりゃ戸惑いもする。俺だって、司だって、面食らったのだから。
 そしてそれゆえに、必要なのはあとただ一歩の押し。

「先生。確かに紅瀬さん、みんなに教えてましたよ。な、陽菜?」
「うん。先生、私も教えてもらいました」

 俺の問いかけに陽菜が頷いて見せると、先生はようやくその戸惑いをしぶしぶながらに受け入れた。

「まあ、支倉や悠木が言うならそうなんだろう。悪かった、あとで紅瀬には追試をやることにするな」

 それに対し「えー、センセーあたしらの言うことは信じないのに、あの二人のことは信じんのー?」「いやいやそんなことないぞ」「横暴だー」「格差社会かよ」「日頃の行いとかつらいわー」なんてやりとりもあったが、みんなもこれ以上話を長引かせるつもりもないだろう、ほどなくして静かになって、ようやくテストの紙が配られ始める。

「良かったね、孝平くん」

 そんな中、陽菜は人に「良かったね」と言いつつ、俺よりずっと嬉しそうに微笑んでいたのだった。



       ○  ○  ○



「起立、礼」
「ん、それじゃあまた明日な」

 アオノリがそう言って、教室は一気に放課後へと突入する。少し遅れてきんこんかんこんと鐘が鳴り、その音も相まってクラスはHR中の静かさが一転、すぐさま喧噪に包まれた。

「ふう……」

 その直後の溜息は、俺ではなく俺の背後の席から。

「ちょうどテストのときとは、間が悪かったな、紅瀬さん」
「さあ? まあ、あまり間の良い人生ではないでしょうね」

 どことなく達観気味に語る紅瀬さんは、六限のちょっと前に教室へと戻ってきたのだ。すぐに授業が始まってしまったから話はできなかったものの、あれにはさすがに驚いた。
 だって、早退扱いなのだ。たとえ強制睡眠が終わっても戻ってくる必要なんてないのに、わざわざ最後の授業を受けるために紅瀬さんが教室に戻ってくるなんて一体誰が思おう? ただでさえ寝起きは辛い強制睡眠、あの丘から学院までは――それがたとえ眷属の脚力だとしても――決して近くはないのに、時間ギリギリに滑り込んでまでこうして戻ってくる。以前だったらそんな無茶はしなかったはずだ。

「……なにかしら?」
「いや、なんでも」

 陽菜ではないが、頬が緩むのを抑えられそうにない。きっとこのことを瑛里華に言えば、あいつも同じような感情に満たされることだろう。それこそ、彼女が一年も前から願っていたことなのだから。

「用もないのに笑わないでくれるかしら」
「あ、いやいや。……っと、どうやら紅瀬さんに用があるのは俺じゃないみたいだな」
「……?」

 俺の目線を追って、紅瀬さんが顔をそちらへと向ける。
 陽菜と、あと結構な数の女の子たちが揃っていた。

「ね、紅瀬さん。これからみんなで私の部屋でお茶でも飲もうと思うんだけど、どうかな?」
「どう、というのは?」
「そりゃ紅瀬さんに来てほしいってことに決まってんじゃんー」
「そーそー。ほら、朝のお礼とか」
「髪の手入れ、教えてよー。ずるいよその髪ー。マジ遺伝子レベルでの格差感じるわ」
「そういや聞いたよ、料理もできるんでしょ? ほら、悠木の部屋確かIHあったし」
「ねーねー行こうよー、飲もうよー、喋ろうよー」

 怒濤のように押し寄せる言葉の並に、紅瀬さんが一瞬目を丸くする。その仕草、悪いが少しだけ笑ってしまった。驚き方がどことなく伽耶さんに似ているようにも思う。

「え、ええと、今日は――」
「今日は生徒会の仕事ないから、行ったらいいんじゃないか?」
「――っ、あ、貴方ね……!」

 先んじて退路をカット。紅瀬さんはちょっとだけ睨むように俺を見上げてくるが、俺は知らん素振りで口笛でも吹きたい気分。陽菜は俺の言葉にぽんと手を叩いて嬉しそうにし、その後ろの女の子たちは「お、やったじゃん」「決まり決まりー」「っていうか生徒会の可能性を忘れてたわ」「んじゃ早速いこいこー」なんて言って、ちゃっちゃかと紅瀬さんを連れて行く用意を始めた。紅瀬さんの両脇を確保して、鞄を持ってあげて、背中を押して、腰を浮かせた紅瀬さんをそのまま廊下へ押し進めていく。

「ちょ、あ、悠木さん、貴女まで――」
「まあまあ。今日くらい、ね?」
「それじゃ任せたぞ、陽菜」
「うん、任せて。悪いようにはしないから」

 そうして紅瀬さんと女の子と集団は、わいわいと騒ぎながら廊下へと消えていった。
 嵐のように去っていった騒ぎっぷりに比して、教室がずっと静かになる。

「フリーズドライも形無しだな」
「ん? ああ、司か。
 まあいいだろ、あれはあれで。自分が居るべき場所の周りに友達が居てくれるってのは、いいもんだ」
「流石、転校のプロが言うことが違う」
「言ってろ」

 紅瀬さんを送り出した扉の方を眺めつつ、俺も鞄を手にして立ち上がる。

「……俺たちも帰るか」
「だな」

 わざと気怠げに同意してくれた司とともに、そうして俺たちも紅瀬さんたちと同じく教室を後にする。
 もちろん俺は、明日、紅瀬さんがどれだけクラスに馴染んでいるかを楽しみしながらだったけれども。

++++++++++


Short Story -Fortune Arterial
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