あたし

[Fortune Arterial ke-tai story]
なんか
お昼過ぎて
すっごい暇
いや
いつものことだけど
なんか今日は
特別
みたいな
横になっても
昼寝って
気分じゃないし
テレビも
この時間って
あんま面白くないし
なんだろ
いつもは
そんなこと
思わないんだけど



それであたし
思いついた
だったら
瑛里華たちのとこ
行けばいいじゃん
別に
行かなくても
いいんだけど
娘の
そういう姿
見るのも
親の務め
みたいな
あたしとか
もう
他の親なんて
目じゃない
みたいな
どうせあたし
入るの
顔パスだし
瑛里華だけ
じゃなくて
桐葉もいるし
まあ
支倉とかは
どうでもいいんだけど
別に
寂しいとか
そういうわけじゃ
なくて
あいつらの
様子を見るのも
あたしの務めかな
みたいな



学院に
到着
あたしの足なら
超早い
みたいな
まあ
人間じゃないし
別に
気にしてないけど
学院は
放課後みたい
けっこー
色んな人に
こっち見られた
まああたし
可愛いし
当然じゃん
みたいな



そのまま歩いて
監督生室
けど
あの坂は
ありえない
人前だし
飛べないし
超不便
建てた奴の顔
見たい
みたいな
まあ
あたしなんだけど
四年坂とか
名前あるみたい
でも
もっと長いだろ
あたし基準で
四十年坂
くらいは行く
まじ疲れた
早くお茶
飲みたい
みたいな
桐葉と
征一郎と
あと
伊織以外なら
誰のお茶でも
いいかな
あの三人は
終わってるし
みたいな



監督生棟の中
入ったら
桐葉と瑛里華と
東儀のチビと征一郎と
あと他
どーでもいいのが
二人いて
なんかフルメンバーとか
正直想定外
それで
せっかくあたしが
来てやったのに
『あれー?
迷子でちゅか?
それとも
寂しいから
来ちゃったんでちゅか?』
とか
アホが言うから
とりあえず
窓の外に
殴り飛ばして
『ちゃんと仕事
してるようだな』
って
ねぎらいの言葉
かけるあたし
これが
あたしみたいな
偉い立場の
務めってやつ?
そしたらチビが
『お茶持ってきます』
って
殊勝な心がけ
まあ
当然だけど
なんせ相手は
あたしだし
みたいな



まあ
悪くないお茶
飲んでると
『それで一体
どうしたの?』
って桐葉
まあ
眷属が
主の機嫌
窺うのって
当然だし
言うこと聞かないこと
多すぎだけど
最低ラインは
クリアしてる
みたいな
『お前らが
きちんと仕事
してるかを見に来たのだ』
言ったら
桐葉は笑った
瑛里華も笑った
支倉も笑った
だからとりあえず
支倉は殴っとく
『なんで俺だけ!』
馬鹿か
桐葉と瑛里華と
それとお前なら
お前を叩くのは
自明の理
恨むなら
ここには居ない
伊織を恨め



あとはまあ
邪魔
しないように
のんびりお茶
飲んだり
きんつば
食べたりして
瑛里華たちの仕事
見守ってた
みたいな
相変わらず
桐葉は
機械音痴で
瑛里華は
頑張り屋で
征一郎は
堅物で
あとは
どうでもいいけど
帰り際になって
『お前等の仕事ぶり
まあまあといったところだ』
って
褒めてやった
まあ
あたしみたいに
凄い奴になると
大したことなくても
褒める技術
必要だし
頑張ってない
わけでもなかったし
褒めるくらいいいかな
みたいな
そしたら
桐葉は笑って
瑛里華も笑って
支倉も笑ったから
とりあえず
支倉は殴っといて
いつの間にか
戻ってた
伊織も
笑ってたから
殴ったけど
殴れなかった
でも瑛里華が
ケンカやめろって
言うから
してるつもり
なかったけど
まあやめとくか
みたいな



それであたし
そのまま帰って
週末じゃないし
瑛里華たち
学院だけど
でもまあ
別に寂しくない
みたいな
あとはテレビ見て
暗くなってきたから
布団敷いて
また今度
暇なとき
学院行こうって
思いながら
あたし
おやすみなさい

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Short Story -Fortune Arterial
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